400年にも及ぶ歴史のある土佐打刃物。
高知県は県民1人あたりの森林占有面積が日本一、といわれる森の国。
昔から日本全国に多くの木材を搬出してきました。
イコール山仕事が多い土地柄です。
山林の木材を伐採するためには、丈夫で性能のよい刃物が必要です。
そのため、土佐の国には鍛冶屋が多く存在するのです。
林業から発展をした土佐打刃物は、性能と丈夫さに定評があり、日本全国から需要をいただいております。
1 成形は、鉄、炭素鋼又は鉄及び炭素鋼を炉で熱し、
鎚打ちにより打ち延ばし及び打ち広げをすることにより行うこと。
2 斧及び鳶のひつは、「ひつ抜き」により行うこと。
鋸は、胴と一体の材料で、「首・中子造り」を行うこと。
3 鎌、包丁、鉈及び柄鎌の焼入れは、「泥塗り」を行い急冷すること。
片刃鉈にあっては、「樋(ヒ)」を付けること。
※樋とは刀身に沿って彫ってある溝のこと。
刀の血抜きの名残といわれています。
4 「歪取り」、「刃付け」、「研ぎ」及び「仕上げ」は、手作業によること。
5 使用する素材は、鉄、炭素鋼又は鉄及び炭素鋼とすること。
柄は、木製とすること。
このすべてが守られてはじめて「土佐打刃物」と呼ばれるのです。
土佐打刃物の製造方法は、日本刀の作刀技術から生まれた秘伝の自由鍛造を引継ぎながら、
山林・農耕などの庶民の生活に添う「使い勝手」を思いやったものであるということがわかります。
土佐打刃物の大きな特長の1つとして、「自由鍛造」が挙げられます。
自由鍛造とは、金属材料を適当な高温に加熱し、
プレスまたはハンマを用いて、その上下金敷間で力を加えて鍛造加工を行うことです。
鍛伸すえ込み、穴あけ、穴広げ、展伸、せぎりなど
鍛造の基本作業をそれぞれ製品の使用目的、用途などに応じて
組み合わせて鍛錬、成形を行います。
決まった「型」がありませんので、すべてが経験によっての形づくりです。
一人前になるには、何年もかかります。
近年は、一部の機械化や、技術者の交流などもありますが
それでも、製品を任せられるのに、最低は4〜5年はかかります。
素材の特徴・温度・力の入れ具合・角度…など
熟練を要する仕事ではありますが、
自由鍛造は、その名のとおり自由であるため、
使い手の細やかな要望に応えることも可能です。
そのため、日本全国から「自分のための刃物」を
求めての注文に応じています。